熊本市の農業は、北西部（河内・小島地区等）は金峰山麓を中心とした果樹地帯で温州ミカンの有数産地で、「金峰」をはじめ幾種のミカンが栽培され、近年は梅の栽培も盛んです。北東部（北部・供合・小山戸島地区等）はスイカ・メロン・肥育牛・酪農牛を主体とし、南西部（飽田・天明等）はメロン・ナス・トマト等を栽培、また都市中心部（田迎・御幸等）はカラー・バラ・カーネーション等の栽培が盛んです。

　玉名地区は熊本県の北西部に位置し、福岡県に隣接しています。玉名地区の中央部には、阿蘇外輪山を水源する菊池川が南北に貫流し、肥沃な水田地帯を形成しています。南西部はトマト・イチゴ等の施設園芸が盛んです。中山間及び山麓地帯では果樹（ミカン・梨等）・畜産や野菜・竹林等が営まれています。

　鹿本地区は熊本県の北部に位置し、国道3号線が中央部を南北に横断し、北は福岡県に接しています。農業の生産地帯をみると、まず南部平坦地帯は施設園芸が盛んで、スイカ・メロンは日本一の生産団地を形成し、野菜（グリーンアスパラガス・キュウリ等）・米・麦・畜産・果樹・花き等が中心。また、北部山麓地帯は果樹・茶・花き・筍等が産地化されています。

　菊池地区は熊本県北東部に位置し、北東部は阿蘇外輪山系を有する中山間地、南西部は菊池川、白川流域に広がる台地・平野部からなっています。

　農業は菊池・七城の水田地帯で評判の米を産出し、水田を利用した水田ゴボウは有名、また旭志・泗水では県内有数の畜産地帯を形成しています。台地・平野部の大津・菊陽ではニンジン・カンショの産地となっています。

　阿蘇地区は世界一のカルデラを誇る阿蘇山を中央に置き、その周囲に市町村があります。農業は年間を通して豊富な美味しい水を利用した米作りを主力に、施設園芸のトマト・イチゴ、それに高冷地野菜（ホウレン草・ダイコン・キャベツ等）、有名な肥後赤牛の放牧など、大自然を利用した農業が魅力となっています。また、近年は花き栽培ではトルコギキョウが盛んです。

　上益城地区は、熊本県のほぼ中央に位置し、西は熊本市に隣接する平坦地域から東は宮崎県に接する中山間地域まで広がっており、熊本空港も有しております。平坦地域ではスイカ・イチゴ・メロンが栽培され、また中山間地域では茶、夏場の高冷地を利用したトマト、キャベツ栽培が盛んです。

　熊本平野の南部と八代平野の北部、それに宇土半島を領域として、熊本市の大経済圏と隣接し、農業も野菜・果樹等も盛んな地域です。平坦地域ではメロン・トマト・ナス等の施設園芸、中山間地域では生姜、柿（干し柿含）・梨・ブドウ等、また海岸島しょ地域はデコポン・温州みかん等の果樹を中心に、その南部では花き（洋蘭等）が栽培されています。

　八代は平野の3分の2が干拓によって造成され、八代市内を通る球磨川が農業を潤しています。農産物は日本一のイ草をはじめ、施設園芸ではトマトの「はちべえ」やメロン、イチゴ等を大規模に栽培しているほか、ショウガ、果実では晩白柚、ザボン等が盛んです。

　熊本県の南部に位置し、西方に開けた芦北海岸は天草の島々を望み、県立自然公園指定の美しいリアス式海岸を形成し、温暖な気候は豊かな果樹類（甘夏・デコポン等）を産出しています。近年は特産「サラダたまねぎ」が全国的に有名になっています。

　熊本県の東南部に位置し、その中心部に広がる盆地には日本三大急流の一つ球磨川が貫流しています。盆地特有の霧と、その寒暖の差が米・野菜・果樹（梨・栗・桃）・茶など最高の風味と食味のある豊かな農産物を産出しています。また、黒毛和牛の飼育も盛んです。人吉城跡からは相良氏700年の伝統ある歴史の流れにより、独自の文化・経済を今に伝えています。

　熊本県の南西部、大矢野島・天草上島・天草下島を中心に大小120余りの島々からなり、豊かな海洋景観と南蛮文化、キリシタン伝説の残る歴史の島として有名です。温暖で豊かな自然条件を活かして、早場米や柑橘類（デコポン・ポンカン等）、野菜類、花き類、畜産が盛んです。