熊本の農業

健康志向にも人気の夏野菜
「父から受け継いだオクラづくりのチャレンジ」
中村 明博さん / JA菊池管内

2024.09.27

熊本県はオクラの有数な生産地のひとつ。
阿蘇の伏流水を湛えた豊かな菊池川が流れるJA菊池管内では日量2,200~2,500パックを出荷しています。
今回は菊池川沿いにある中村さんのハウスを訪ねました。

 

夏野菜オクラづくりのスタートは春

 中村さんが手がける品種名は「ジョニー」。オクラの作業は春に始まります。肥料を撒いて畝(うね)を立て、灌水(かんすい)の設備を通してハウスの準備を整えます。購入した種は1日水につけておき、3月上旬に種まき。マルチで覆われた畝のひとつひとつの穴に専用のパイプを用いて3〜4粒ずつ種を投下して土を被せ、芽が出るのを待ちます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

成長がとにかく早いオクラ

 暖かくなると成長も早まり、ぐんぐん伸びていくため、茎の高さが1・8mほどになるよう「切り戻し」と呼ばれる芯止めの作業を行います。収穫しやすいよう高さを一定に保つためです。元々乾燥に強いオクラですが、2〜3日に1回の水やりが重要です。収穫は5月上旬からはじまり、霜が降る時季まで6か月以上の収穫が可能ですが、冬場はカスミソウの作業が忙しくなるため、オクラは10月くらいで早めに切り上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

畑のサイクルについて

 オクラを育てた畑は、連作障害を防ぐために土を休ませる必要があります。オクラの収穫が終わると、一旦オクラの茎を撤去し、マルチを剥がします。その後、その土に1月にトウモロコシを植えて5月ごろまで収穫。その後は1年、何も植えずに土の状態を戻していきます。そのため何枚かある畑をローテーションしてオクラの畑として使用していくのです。

 

収穫から出荷までオクラに想いを込めて

 夏場は朝5時から7時頃まで収穫作業、その日のうちに自宅の作業場で選別とサイズ分けをして、出荷用のネット詰め、箱詰めまで行います。中村さんのオクラは収穫量の9割をJAに出荷していて、1割を地元の直売所に出荷。JA菊池へ出荷されたオクラは主に関東方面へ運ばれます。オクラの出荷時期の前には自宅で料理して今年の味をチェックするなど、消費者の台所に届くまでをイメージして心を込めて育てています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オクラ部会の取り組み

 JA菊池のオクラ部会では、生産者ごとに主に3つの品種を導入しており、膝下の高さでも早期収穫ができ、収量も多い「キャスバル」という新品種の導入を始めています。こまめな栽培講習と過密栽培試験を重ねているため、品質の良いオクラが多く収量も伸びています。オクラは軽量野菜として、新規就農者だけでなく高齢の生産者にも新たに導入しやすいメリットがあります。

 JAには品目ごとに担当職員さんがいて、生産面、販売面のアドバイスをしています。
 農業の技術や市場の情報提供、新しい作物や技術の導入等、生産者の相談相手としてJAと生産者の架け橋となる存在です。取材日も中村さんと一緒にオクラの生育具合を見ながら、出荷状況や害虫対策などの情報交換をされていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

家庭でのオクラの保存方法は?

乾燥を嫌うので、保湿してあげることが一番です。袋で包むなどして冷蔵庫で保管してください。オクラの表面のヒゲは料理前に塩もみして落とすのがおすすめですよ。

 

生産者ならではのおいしい食べ方は?

薄くスライスしたオクラをたっぷり入れたお好み焼きです。ネギ焼きのようにたっぷりオクラを使うのがポイントで、他の具材は入れないくらいオクラを大量にまぜるとトロトロ感も出てとってもおいしいです。

 

《JA菊池オクラ部会のオクラ》

生産管理の徹底と気象条件に応じた育て方など栽培管理、出荷選別の徹底をもとに市場での評価も高いオクラです。