熊本を代表する柑橘のひとつに、12月から販売が始まるデコポンがあります。
今回はその産地のひとつ、JA本渡五和管内の志柿・下浦地区を訪ねました。
約30年育つ樹木、デコポンの1年について
江崎さんのハウスでは、出荷は12月末まで行い、1月からは剪定、2月にはハウスの加温準備、4月は花の時期を迎えます。花の数=実の数になるため、その年の気候や樹の状態を見て、余分な実を取り除く摘果を行います。
夏場は主に害虫の防除を行い、梅雨や台風時期には雨量が実の甘さに影響するため、水の管理も丁寧に行う必要があります。10月半ばに色づき始め、きれいな黄色になってきたら出荷を迎えます。
11月末から始まる収穫は全て手作業で行い、JA本渡五和の天草みかん選果場に集められます。
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デコポンをおいしく出荷するための工夫
デコポンは、3種の栽培方法があり、12月に加温(ハウス)、1月には屋根掛け、2月以降に露地の順で出荷していきます。JA本渡五和管内のデコポン全体の出荷量の割合では、加温が20%、屋根掛けが50%、露地が30%となります。加温デコポンは収穫後すぐ出荷が可能ですが、露地栽培したデコポンは収穫後にすぐ出荷ではなく、5%の水分を飛ばすため「よそ」と呼ばれる、皮目を落ち着かせる工程があります。
例えば20キロのコンテナなら19キロになるまで、皮の水分を飛ばすことで、長持ちする果実に変化させてから、袋で包み貯蔵庫に入れます。そうすることで酸味を落として、品質が保たれるよう工夫されているのです。
厳しい最終チェックを担う選果場の熟練スタッフ
JA本渡五和天草みかん選果場では、20名ほどのスタッフが管内で収穫された「不知火」の糖度や品質のチェックを行なっています。まずレーンに乗せる前に人の目で1回目の選別があり、続いてセンサーによって糖度や酸度が数段階で選別され、統一規格をクリアしたものだけが「デコポン」としてサイズ別に箱詰めされます。箱詰めの際にはスタッフがひとつひとつ状態を確認するなど、品質保持のために多くの選別の段階と手間がかかっています。
江崎さんの晩柑づくり
晩柑の圃場は、デコポンのハウスから1㎞ほど離れた、太陽の光が降り注ぐ見晴らしのよい丘の上にあります。デコポン以外の柑橘づくりを考えた時に、デコポンとは収穫時期が異なる晩柑を選んだそう。晩柑の収穫時期は3〜4月、地元ではシロップ漬けなどのほか、焼酎を晩柑の果汁で割るなど、普段の生活でも親しまれています。
JA本渡五和総務部広報の石嶋さん、営農経済部の田尻さんと。
地域の生産者さんと土壌分析や生育状況などを共有しておいしいデコポンづくりのサポートを行なっています。
「デコポン®」はJA熊本果実連の登録商標です。
デコポンが日本で初めて出荷されたのは熊本県で、平成3年の初出荷以来、全国で愛され続けています。日本園芸農業協同組合連合会(日園連)傘下の農業団体(JA)から出荷された、全国統一基準を満たした果実のみが「デコポン」として販売されます。
デコポン 熊本では12月から6月くらいまで出荷されます。
「清見」と「ポンカン」の交配種として生まれた柑橘で品種名は「不知火」です。甘味が強くジューシーな味わいと、かわいらしい形が魅力です。
江崎さんのハウスでいただいたデコポンの果肉はみずみずしい輝き。今年も甘くおいしいデコポン出荷が始まりました。