熊本の農業

家族で紡ぐこだわりの手仕事 幸せの「春スイカ」
村上正剛さん / JA菊池管内

2022.05.25

JA菊池管内、西営農センターでは
例年3月中旬から春スイカの出荷が始まります。
GW前後に旬を迎えるという春スイカを求めて
村上さんのハウスを訪ねました。

春スイカは秋から冬にかけて育つ

 村上さんが手掛ける品種は「春のだんらんRV」。大玉で糖度が高いのが特徴です。JA菊池全体の出荷量はピーク時(4月上旬と5月上中旬の2回)には日量40トンにもなるそうで、糖度センサーで選別が行われ、主に関東方面へ出荷されます。
 春スイカの栽培は前年の10月からはじまります。苗づくりを家の横のハウスで行い、12月の定植までにフィルムの張替えや、土壌消毒など、土と畑の準備を行います。一番最初の交配は1月末。一つひとつ手作業で行います。「丁寧に花粉を付けていかないといけないので交配が一番気を使うし、この時期ばかりはみんなピリピリしていますよ。」

JA菊池のスイカ部会は全部で68戸、西合志、合志、泗水の各地区の代表が委員制で様々な調整を行っている。選果場への出荷は農家4軒が1班となりトラックから柔らかいベルトコンベアへごろごろ転がしていきます。

ひとつのハウスにつき約1300株ほど

 とにかく全体の面積が広いので、ハウスごとに生育状況が違います。現在出荷中のもあれば、交配中、交配前のもあるし、水やり、消毒、常に生育順に追いかけた作業を行っています。最初の収穫が終わって二番果になると、蜂による交配でたくさんの実がなるため、余分な養分を取り合わないように摘果していきます。どの作業も大変ですが、同じスイカ農家の30〜40代の後継者も多く、様々な情報交換もできるので張り合いはありますよ。

春を迎えた二番果、三番果の交配には蜂を用います。
収穫は一玉一玉手作業で行い、運搬機でハウスの外まで運ぶ。重いもので、一玉7㎏ほどにもなるが、3月の収穫でも1日500玉になるという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家族と地域のおかげで今がある

 将来、作物を見直す時がいずれあるかもしれませんが、両親が代々作ってきてきたスイカを守っていきたいという気持ちが大きいです。スイカは作り手の愛情も含めて見えない部分にとても手間ひまがかかっています。栽培には早い時期から手を掛け、温度・湿度の管理の難しさも含めて、作りにくいからこそいいスイカができたときは喜びもひとしお、おいしいと喜んでもらえたら苦労も吹き飛びます。家族と地域に感謝して、普段からの努力は欠かせないですね。

村上さんご家族と、JA菊池広報の荒木さん、営農の高本さん。
ハウスに囲まれたご自宅のスペースには子供たちがのびのびと遊べる広場があり、おじいちゃん手作りの遊具も並びます。農業が支える豊かな暮らし、親子3世代の憧れの家族像と日本の原風景がそこにありました。総勢9人のいとこ大集合です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西営農センターの高本さんに聞きました

 

おいしく食べるコツは?

 冷蔵庫なら1玉2時間半、4分の1玉なら1時間半くらい冷やした後、食べる前に常温に戻すこと、切るときは、中心が均等に割れるようにしてくださいね。

 

 

 

 

甘いスイカを選ぶコツは?

 一般的には、緑と黒の縞模様に凹凸があるのが甘いとされています。頭のヘタが窪んでいるほうが良いとか、尻の丸い部分が小さい、尻の部分の小さな茶色の円形の部分が窪んでるほうが旨い、などなど、甘さを表すいろんなサインがでてくるんですが、実際のところは食べてからのお楽しみです。

尻の丸い部分
縞模様に凹凸

 

 

 

 

 

 

 

なぜシマシマ模様なの?

 元々が砂漠地帯の作物であり、鳥が発見しやすいように(広範囲に種が広がるように)模様がついたと言われています。

種の周りが甘いのは本当?

 種を成熟させるために種に養分があつまってくるので周りが甘いのは本当です。なので、最近よく聞く種なしスイカは養分が全体にいきわたるため全体が甘いようです。

どれくらいもつの?

 スイカは追熟しないので、そのままなら2週間以上はもちますよ。カットしたものは日持ちしにくいので、なるべく早く新鮮なうちに召し上がってください。

農家さんならではの食べ方は?

 薄皮部分は漬け物としてだけでなく、刺身のように醤油で食べるのもおすすめですよ