おいしいミニトマトの若手生産者さんがいるとお聞きして
JAかみましき管内の山都町、下名連石(しもなれいし)地区を訪ねました。
「こういう若手がもう20人欲しい」と地元の人が口を揃える地域の逸材
大学で水産学を学んだのち、長崎の水産会社の養殖部門に就職した清原さん。しばらくして食に関わる一番身近なものを生業にしたいと考え始め、一次産業向けの転職サイトから矢仁田農園への就職を機に山都町へ移住した。熊本の山都町には来たこともなかったが、27歳で飛び込んだ農業の世界、移住のお世話も含めて、受け入れ先の矢仁田さんはいわば師匠にあたる存在だ。
父子ほどの父子ほどの年齢差になるが、「初めて会ったときは、住む所はどこでもいいので農業やりたいんですって言って変わった子だなと思いましたよ。でも1ヶ月持てばその後は大丈夫なタイプだなと。」みるみるうちに地域に溶け込み、人柄とその勤勉な仕事ぶりも評価されていく。
いろいろな経験ができそうだなと思ったのがきっかけでした
「募集にイタリア野菜とかも作れますみたいに書いてあって、色々経験できそうだな思ったのがきっかけですね。」のどかな場所が好きなので、今の環境はとても好きです。「漠然とした不安はありましたけど実際地域に入ってみるといろいろよくしていただいて」。10世帯ほどで自治が行われ、「講」と呼ばれる地域独特の互助システムもあるという。何も分からないゼロの状態から農業を教えてもらった師匠の存在は大きく、圃場も隣接しているので、独立した今でもコミュニケーションは欠かさない。二人が話すのは疑問の解決だけでなく、まるで常に師と弟子がお互いの成長を確認しているように感じられた。
地域とのつながりが何より大切
一人でこの地に来た清原さん曰く「移住も就農も、人と人のつながりがとても大切ですね。使ってない道具を貸して頂いたり、仕事の理解を得られたり、たくさん助けて頂きました。地元の人からしてみれば得体の知れない人が移住してくるわけだから、地元の寄り合いに積極的に参加するような姿勢は大事ですね」冬場には勉強のためにニラを育てたり、葉物や辛子菜なども育てているそうで、トマトづくりを探求しながら、将来は原木椎茸をつくって原木を肥料にする循環型の農業に挑戦したいそうだ。
5月の末に花が増えたころからクロマルハナバチを入れ交配を促す。地域の平均で10
アールあたり5.5tの収穫量が目安で、一つの株を2本に分ける手法が主流だという。
寝ても覚めてもトマトが気になってしょうがない
手をかけた分だけ良いものができるので、常に生育状況は見ていても、病気の症状が出ている場所はないか、葉は繁り過ぎたりしないか「寝ても覚めてもトマトが気になってしょうがない」という。熱心でトマト愛溢れる人柄もまた、この地域の人にも愛される所以だろう。師とともに歩むトマトづくり、数年後にまた取材に訪れたい。