年中出荷が可能なJAたまな管内のナス。
今回取材に訪れたのは、出荷のピークを迎えた冬春ナスの圃場。
玉名市天水町にある荒木さんのハウスを訪ねました。
JAたまなの 冬春ナス
JAたまなの冬春なす専門部の生産者は44名で「PC筑陽」の出荷は7月上旬まで。
乾燥しないように丁寧に袋詰めされて、JAたまなへ44名全員が全量出荷後、主に関東、関西、福岡をはじめ熊本県内各地にも流通します。
トゲなし交配不要。画期的な品種「PC筑陽」
「以前の品種はトゲが鋭くて収穫も大変だったんです。」JAたまな管内では、栽培工程の見直しや収量の増加のため数年に渡る試験栽培を経て、現在では、ほぼ全ての生産者が「PC筑陽」を育てています。この品種はトゲがないため作業効率が良く、単為結果性のため「花つけ」と呼ばれる交配作業が不要なことが大きな特徴です。従来の品種だと花が16時頃までしか咲いていないため、午前中に収穫作業、午後からの花つけは特に大変でした。今では収穫しながら脇芽や葉の手入れができるので大きな効率化が図れるようになりました。
父の取り組みからヒントを得た「土づくりのこだわり」
祖父から3代続く農家で、元々はミカンから始まり、父がカボチャも始めて、しらゆきメロン、アンデスメロンと作っていました。私がナスを始めて今年で30年になります。
当時、土のケアといえばガス消毒しかなかった時代です。土のことをいろいろ調べ始めた頃、ちょうど父が育てていたミカンが、見かけは悪いけれど味はとても良いことに気づき、その土には乳酸菌が使われていました。土の中の乳酸菌をどうやって増やしたらいいのか研究を重ねました。ブルーシートを敷いて米ぬかを広げ菌を入れて発酵させたり。試行錯誤を繰り返し、たくさん失敗も重ねた分、そのノウハウが今の土壌を支えています。
荒木さんのハウスは玉名の平坦地。海が近い分、昔は粘土状の土壌で水はけも悪かったそう。麦わらを土にすき込んで、30年にわたって微生物資材などを散布し土作りをしてきました。ナスは水を大量に必要とするため、ボーリングで掘った地下水を用います。
新鮮さのひとつの目安「のびしろ」
ハウスでの収穫は1〜2日おきに行います。ヘタの下部に見える薄い紫色が一晩で成長した「のびしろ」と呼ばれる部分。朝の収穫時に見ることができます。時間と共に色濃くなるのですが、直売所等では新鮮さのひとつの目安になります。
ナスってどうやって大きくなるの?