希少な小国ジャージー牛乳の生産現場を
見せていただけるということで、
J A阿蘇管内、清流と緑の広がる小国郷を早朝から訪ねました。
小国ジャージー牛とは
ジャージー種は全国の乳牛の1%未満の希少な品種です。阿蘇小国地域では昭和30年代、海外より98頭のジャージー種の乳牛が導入され、当時の小国農協が昭和33年に牛乳処理工場を施工しました。翌年から学校給食にジャージー牛乳の供給を始め(給食は〜2023年の1月まで)地域でも広く愛されています。小国ジャージー単一種での組合は全国的にも珍しく、岡山と熊本の2カ所のみ、小国郷ではジャージー牛乳の生産者は全部で12軒あります。
乳脂肪分が高く加工品にも向いている
ジャージー種の起源はイギリスのジャージー島にあり、髙村さんは全部で約130頭を飼育。うち子牛などを除く約80頭の搾乳により毎日牛乳の生産を行っています。「一般的な乳牛のホルスタインと比べて乳脂肪分が高く濃厚なのですが、サラッと飲みやすくて、味が濃い牛乳を楽しめるのが特徴です」と話す髙村さん。
毎日2回の搾乳は朝5:30~と夕方に行われ、ミルキングパーラーと呼ばれる専用の搾乳室へ1度に8頭が順番に入っていきます。
通路の中心で搾乳機の取付けと搾乳量のチェックを行い、牛の状態もチェックしながら1時間半ほどで全頭の搾乳を済ませます。
365日、丁寧に続く牛の世話が基本
午前4時半、牧場の朝はまだ暗いうちから始まります。牛の餌やりを済ませ、5時から搾乳室に誘導し、全頭入ると鋸屑を敷いた牛の寝床を清掃していきます。牛は毎日お乳を絞らないといけないため搾乳もお世話も365日欠かすことなく行われます。
自分たちで作る牧草と「ジャージー飼い」の誇り
牛舎の周りに点在する牧草地は全部で約25町。広大な牧草地で、イタリアンライグラスや青葉ミレットといった牧草を育てています。面積もさることながら、片道30分かかるような離れた牧草地もあり、その管理には膨大な時間を要します。「大変ですが、自分達で育てた牧草で大きくなって欲しいし、それが美味しいミルクの元になっていく。日々の世話もそうですが、自分達が手間と愛情をしっかりかけた分、おいしい味の理由がはっきりしているので、やりがいを感じますよね」。水も1頭あたり1日60リットル弱が必要になるそうだが、牛の飲み水には人間も飲める天然の地下水を用いているという。
ジャージ―牛乳の存続のために
酪農を取り巻く環境も日々変化し、牛乳消費の波や、飼料価格の高騰など課題は山積みですが、乳脂肪分の多い牛乳はデザート系の加工品にも活用しやすく様々な試みがなされています。「祖父から続くジャージー牛乳づくりを守って発展させていきたい、その一心ですね」。
搾りたてのミルクを工場へ
髙村さんの出荷するジャージー牛乳は毎日2トン弱。各軒に集乳車がきて牛乳工場へと運ばれます。地域全体で毎日10t程度の出荷量になります。牛乳工場で殺菌、パック詰めされたのち、JA阿蘇の直売所「四季彩いちのみや」「小国郷よかとこ朝どり市」をはじめ各店頭に並んでいきます。
JA阿蘇 小国ジャージー牛乳
JA阿蘇の直売所、「四季彩いちのみや」では上記商品の他、小国ジャージ―を使ったアイスクリーム、アイスキャンデーなども販売中です。
※小国でもアイスクリームを扱っています。