ハウス栽培の早生レンコンが多い熊本市西区の高砂地区では
「高砂レンコン」が5月中旬~8月中旬まで出荷されます。
約20軒の生産者で構成される高砂レンコン部会の藤本さんの圃場を訪ねました。
熊本の方にもっと知ってほしい高砂レンコン
高砂レンコンの歴史は昭和20年代に始まり、現在は主に熊本市沖新町高砂地区で栽培されています。通常は7節や10節まで育つレンコンを3節〜4節くらいで収穫することが特徴で、若くて白い、成長途中の柔らかなレンコンを5節以内で収穫していきます。そのため、その白い美しさやシャキシャキ感、みずみずしさが人気のレンコンとして知られています。収穫当日の夕方には空輸で関東まで出荷されるためレンコン収穫の朝は早く、早朝4時半から8時半に収穫を行います。
他の農作物と大きく異なる、見えない状態での収穫
収穫はまず水面より上の約2mの高さの葉と茎を草刈機で払い、水田より少し深いくらい、膝下ほどの泥の中を3〜4人が横1列になって進みます。特殊な専用機械が水圧でゆっくり泥をほぐしていくので、手でレンコンの端を探り当てていきます。レンコンの場所にいくつか見当をつけ、握ったままレンコンの周りの泥が水圧でほぐれるまで待ちます。泥の中でレンコンに傷がつかないようゆっくりその形を確認し節の根本を探すのです。
実際に泥の中で収穫を体験させていただきましたが、見えない泥の中でレンコンを探し当て、レンコンが折れないように、手で節を数え、その根元に鎌を入れる作業は熟練の技術が要されます。
早朝の収穫から出荷にかけては時間との勝負、レンコンは収穫後、その場で選別されます
ハウスの横に設けられた洗い場で地下水に浸し、1本1本丁寧に泥を落とし、節と節の間にあるヒゲを丁寧に切り落としていきます。このヒゲを落とす作業に手間がかかりますが、その時に状態を見極め、計量し、箱詰めまでの一連の作業がスピーディに行われていきます。
出荷形式は2種類あって、関東へは「洗い」と呼ばれる白いレンコンが、関西より西には「泥付き」と呼ばれるレンコンが出荷されます。収穫最盛期には1日200ケースほどになります。
何で泥を塗るの?
高砂レンコンの「泥付き」は鮮度を長持ちさせるためのお化粧なんです。
丁寧に洗ったレンコンにひとつひとつ手作業で泥を塗り直します。
レンコンを植えればレンコンが育つ
レンコンは苗があるわけではなく、収穫時に出荷用のレンコンと、種レンコンに選別されます。選別方法にマニュアルがあるわけでないため、非常に大切な目利きのポイントとされています。この選別は来年の収量に大きく関わるため、この種レンコンを選ぶ作業は藤本さん自身が行います。
採れたての高砂レンコンづくし!
高砂レンコン部会の奥様方がレンコンの美味しい料理を準備してくださいました。新鮮なレンコンでつくられた料理の数々。辛子蓮根、レンコンハンバーグの豚バラ肉巻き、レンコンとエビすり身のフライ、レンコンの酢の物、きんぴら、レンコンチップスなど。
この時期の高砂レンコンのシャキシャキ感は特に酢の物など夏の料理にもよく合います。
レンコンは切り方で食感が全く変わります
輪切りや角切りのような切り方が一般的ですが、きんぴらなどはぜひ縦に切って食べてみてください。高砂レンコンならではの旬を生かした、いつもと違う食感が楽しめます。
《JA熊本市高砂レンコン部会の高砂レンコン》
高砂レンコンは熊本市西区の有明海に面した高砂地区だけで採れるレンコンで、主に関東や関西に出荷されます。早生の若いシャキシャキした食感と、その美しい白さが人気です。